加速的に増え続けるデータとそれを保存させるために増設し続けるハードディスク。しかしそのデータの70%は無駄なデータと言われています。
社内SEが頭を抱えるこのイタチごっこに終止符を打つべく、現役社内SEがやっている無駄を排除した超効率的なファイルサーバー運用をご紹介します。
ファイルサーバー上に存在する無駄なファイルは大きく分けて以下の4つです。
これらのファイルに対して対策していくことで基本的には業務上必要なデータだけが最適なサイズで存在することになり、ファイルサーバーの効率は100%に近づきます。
それぞれの問題について、実際に筆者が取り組んでいる対応方法を紹介します。
デジカメの高画質化によって超高解像度の画像データがファイルサーバー上にたくさん保存されるようになりました。
ExcelやPowerPointに1000万画素越えの画像データがそのまま挿入されるケースも多々あり、開く速度も遅くて見る側には迷惑なファイルとなっています。
実際は1000万画素なんて必要なく、業務に使用するなら200万画素程度の画質で十分です。
大きなポスターを印刷するわけではないので、画像データをリサイズすることでディスプレイで見たり、資料に添付した画像の画質が変わるようなことはありません。
この画像ファイルの問題には2つのアプローチで対策を取ります。
ファイルサーバー上に存在する画像ファイルをソフトを使用して一括リサイズしてしまいます。
フリーソフトではなかなか要件を満たすものがありません。ここは多少投資してでもいくつかのベンダーから出ている一括リサイズツールを使用しましょう。
筆者が探した時に候補になったツールが以下の二つです。
製品名 | メーカー | 定価 | 容量 |
---|---|---|---|
NXPowerLite ファイルサーバーエディション 参考「ファイルサーバー内の画像一括リサイズ」 |
株式会社オーシャンブリッジ | 50万円 |
無制限 |
FILEminimizer Server | 株式会社ラネクシー | 60万円 |
6.0T |
実際にテストを行い、価格と機能を比較した結果、NXPowerLiteを選定しました。
50万円の投資となりましたが、実際に会社内の数台のファイルサーバーの総合計容量約5.0Tのうち30パーセント以上が削減され、新たに1.5Tの空き容量を確保することができました。
1.5Tのストレージが50万円で手に入ったと考えるとそれだけでメリットがありますし、定期的にこのツールでリサイズを実行することで今後のデータに対しても無駄を排除していくことが可能な非常に費用対効果の高い対策です。
筆者の会社でも画像サイズが大き過ぎることが原因で、
「メールで添付ファイルが送れない」
「Excelの動きが遅い」
「ハードディスクがいっぱいになった」
「固まった」
という問い合わせが後を絶ちませんでした。
ユーザー側のメリットをしっかり明示した上で教育を行えば、確実にファイルサイズについての意識は高まっていきます。
教育内容としては、
・画素数とデータ容量の関係
・高画質ファイル(JPEG、PDF)のリサイズ方法(フリーソフトを活用)
・デジカメの撮影品質の設定
あたりが盛り込まれていれば十分です。
これによる社員のメリットは以下の通りですので実施前に明示しておきましょう。
・PCの動作速度を落とさずに作業ができる。
・今まで送れなかった添付ファイルも遅れるようになる。
ファイルサーバーの運用方法で説明した通り、筆者の会社では部署別のフォルダを年度区切りで運用しているために、通常よりも多くの重複ファイルが生まれます。
この重複ファイルに対しては、重複排除機能を持ったストレージ、もしくはOSを使用することで対応可能です。
簡単に言うと、2つ3つとコピーができても同じファイルであれば1つ分の容量しか消費しなくなります。
筆者が検討した対応策は以下の二つです。
最初に検討したのがWindows Storage Serverを搭載したNASの購入です。
機能としては十分ですが、Windowsが乗ったNASということで数十人が同時アクセスした場合のパフォーマンス低下が懸念されたので、以下で紹介する重複排除機能を実装したストレージを導入する方向に変更しました。
重複排除機能付きストレージとしては下記の二つを検討しました。
製品名 | メーカー | およその見積り金額(実行28T確保を想定) | 重複排除の単位と実行タイミング |
---|---|---|---|
VNXe3100 | EMC | 274万円 | ファイル単位、一定の未試用期間が経過したデータのみ |
FAS2240A | NetApp | 505万円 | ブロック単位、リアルタイム |
Windows Storage Serverがソフトウェアで重複排除するのに対し、以下の製品はハードウェアレベルで重複排除を行うため高速です。(その分ちょっと高額になります)
製品名メーカーおよその見積り金額(実行28T確保を想定)重複排除の単位と実行タイミングVNXe3100EMC274万円ファイル単位、一定の未試用期間が経過したデータのみFAS2240ANetApp505万円ブロック単位、リアルタイム
金額的はもちろん、機能や運用面を比較した結果VNXeに落ち着きました。
重複排除により、全体の30パーセントの容量削減を行うことができました。
VNXe3100の運用については別の記事で説明したいと思います。
1T以上のデータがファイルサーバーに或る場合、実際に業務で使用されているデータはそのうちの10%にも満たないといわれます。
「とりあえず残しておこう」
の繰り返しで増幅したゴミファイルをいかに運用の中で安全に消していくかが大切です。
筆者の会社では、ファイルサーバー上のフォルダの運用によって、毎年100G近くのデータをサーバーから削除しています。(厳密には安価なNASへアーカイブ)
その運用はこちら→「Windowsファイルサーバーの最適な運用ルール」
社員の個人的な動画ファイルや音楽ファイルが一番対策しにくいです。
会社にとって何の価値も生まないデータなのでいち早く排除したいところですが、システムでは判別が難しいため、飽くまでも社員のモラルにゆだねられるのです。
そこで筆者が行っている対策は以下の2つ
アナウンス内容は
・定期的にファイルサーバー内の無駄な個人ファイル削除のお願いします。
・現在およそ何パーセントの無駄ファイルを確認しています(あなたの個人的な動画ファイルがあるのは知ってます)
といった感じです。
そして
無駄な個人データがファイルサーバーを占有
→サーバー費用バックアップ費用UP
→会社の利益Down
→あなたの給料もDown
という構図をイメージさせられればOKです。
筆者の会社ではWindows Serverの追加機能である、ファイルサーバーリソースマネージャーを使用し、特定の拡張子のファイルを保存できないようにしています。
ブロックしている拡張子は「VOB、BAK」の二つだけです。
VOBファイルはDVDをコピー使用としたときにできるファイルで、スキルの無い社員が個人的にデータをコピーするときに残りやすいです。業務上バックアップがとりたいという場合はISO形式で取るようにアナウンスしています。
BAKファイルは各種ソフトでバックグラウンドでバックアップをするときに生成されるファイルで、ソフトによってはかなりの容量になるためブロックしています。
このページでまとめた運用方法は社内SEの方が実施するものですが、大前提として社内のファイルサーバーの使い方を社員に周知しておく必要があります。
次は→ ファイルサーバー内の画像一括リサイズ(容量不足対策その1)
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Windowsファイルサーバーの最適な運用ルールとフォルダ構成とは? |
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ファイルサーバー内の画像データを一括リサイズ&圧縮して容量不足解消 |
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ファイルサーバーの利用実態をフリーソフトで調査する方法 |
![]() |
Windowsファイルサーバーの無駄を無料で調査する方法 |
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サーババックアップについて現役社内SEが考えぬいた最適手段とは |
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別のプログラムがこのフォルダーまたはファイルを開いているので・・・の原因と解決方法(2015/11/24) |
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EMC「VNXe3100」の重複排除でファイルサーバーを超効率的に運用する(2014/01/16) |