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ファイルサーバーの70%を占める無駄なデータを排除し超効率的に運用する方法

加速的に増え続けるデータとそれを保存させるために増設し続けるハードディスク。しかしそのデータの70%は無駄なデータと言われています。

社内SEが頭を抱えるこのイタチごっこに終止符を打つべく、現役社内SEがやっている無駄を排除した超効率的なファイルサーバー運用をご紹介します。

ファイルサーバーの無駄とは

ファイルサーバーに占める無駄なデータの割合多くの企業のファイルサーバーは70%が非生産的なデータ、つまり無駄に使われている。無駄なデータの排除を行わない限り、延々とHDDを増設する羽目になる。

ファイルサーバー上に存在する無駄なファイルは大きく分けて以下の4つです。

これらのファイルに対して対策していくことで基本的には業務上必要なデータだけが最適なサイズで存在することになり、ファイルサーバーの効率は100%に近づきます。

それぞれの問題について、実際に筆者が取り組んでいる対応方法を紹介します。

不必要に高画質な画像ファイルをリサイズして全体の30パーセント削減

デジカメの高画質化によって超高解像度の画像データがファイルサーバー上にたくさん保存されるようになりました。

ExcelやPowerPointに1000万画素越えの画像データがそのまま挿入されるケースも多々あり、開く速度も遅くて見る側には迷惑なファイルとなっています。

実際は1000万画素なんて必要なく、業務に使用するなら200万画素程度の画質で十分です。

大きなポスターを印刷するわけではないので、画像データをリサイズすることでディスプレイで見たり、資料に添付した画像の画質が変わるようなことはありません。

画像ファイルのリサイズイメージ画像ファイルのリサイズイメージ。200万画素程度あればディスプレイで見る限りは何も変わりません。それでもサイズは94%も削減できます。(つまり94%が無駄)

この画像ファイルの問題には2つのアプローチで対策を取ります。

対策1 画像ファイルの一括リサイズ

ファイルサーバー上に存在する画像ファイルをソフトを使用して一括リサイズしてしまいます。

フリーソフトではなかなか要件を満たすものがありません。ここは多少投資してでもいくつかのベンダーから出ている一括リサイズツールを使用しましょう。

筆者が探した時に候補になったツールが以下の二つです。

製品名 メーカー 定価 容量
NXPowerLite ファイルサーバーエディション
参考「ファイルサーバー内の画像一括リサイズ
株式会社オーシャンブリッジ
50万円
無制限
FILEminimizer Server 株式会社ラネクシー
60万円
6.0T

実際にテストを行い、価格と機能を比較した結果、NXPowerLiteを選定しました。

50万円の投資となりましたが、実際に会社内の数台のファイルサーバーの総合計容量約5.0Tのうち30パーセント以上が削減され、新たに1.5Tの空き容量を確保することができました。

1.5Tのストレージが50万円で手に入ったと考えるとそれだけでメリットがありますし、定期的にこのツールでリサイズを実行することで今後のデータに対しても無駄を排除していくことが可能な非常に費用対効果の高い対策です。

対策2 社員向けにITスキル教育を実施する

筆者の会社でも画像サイズが大き過ぎることが原因で、
「メールで添付ファイルが送れない」
「Excelの動きが遅い」
「ハードディスクがいっぱいになった」
「固まった」

という問い合わせが後を絶ちませんでした。

ユーザー側のメリットをしっかり明示した上で教育を行えば、確実にファイルサイズについての意識は高まっていきます。

社員IT教育の様子IT関連の教育は手間がかかっても実機操作を含めた集合教育が効果的

教育内容としては、
・画素数とデータ容量の関係
・高画質ファイル(JPEG、PDF)のリサイズ方法(フリーソフトを活用)
・デジカメの撮影品質の設定
あたりが盛り込まれていれば十分です。

これによる社員のメリットは以下の通りですので実施前に明示しておきましょう。
・PCの動作速度を落とさずに作業ができる。
・今まで送れなかった添付ファイルも遅れるようになる。

複製を繰り返してできる重複ファイルの排除で30パーセント削減

ファイルサーバーの運用方法で説明した通り、筆者の会社では部署別のフォルダを年度区切りで運用しているために、通常よりも多くの重複ファイルが生まれます。

この重複ファイルに対しては、重複排除機能を持ったストレージ、もしくはOSを使用することで対応可能です。
簡単に言うと、2つ3つとコピーができても同じファイルであれば1つ分の容量しか消費しなくなります。

筆者が検討した対応策は以下の二つです。

検討1 Windows Storage Serverの重複排除を使う

最初に検討したのがWindows Storage Serverを搭載したNASの購入です。

機能としては十分ですが、Windowsが乗ったNASということで数十人が同時アクセスした場合のパフォーマンス低下が懸念されたので、以下で紹介する重複排除機能を実装したストレージを導入する方向に変更しました。

検討2 重複排除機能付きストレージの導入

重複排除機能付きストレージとしては下記の二つを検討しました。

製品名 メーカー およその見積り金額(実行28T確保を想定) 重複排除の単位と実行タイミング
VNXe3100 EMC 274万円 ファイル単位、一定の未試用期間が経過したデータのみ
FAS2240A NetApp 505万円 ブロック単位、リアルタイム
重複排除機能付きストレージ重複ファイルによる無駄を自動で排除できるストレージ。ファイルサーバーとしての構築も簡単。

Windows Storage Serverがソフトウェアで重複排除するのに対し、以下の製品はハードウェアレベルで重複排除を行うため高速です。(その分ちょっと高額になります)

製品名メーカーおよその見積り金額(実行28T確保を想定)重複排除の単位と実行タイミングVNXe3100EMC274万円ファイル単位、一定の未試用期間が経過したデータのみFAS2240ANetApp505万円ブロック単位、リアルタイム

金額的はもちろん、機能や運用面を比較した結果VNXeに落ち着きました。
重複排除により、全体の30パーセントの容量削減を行うことができました。

VNXe3100の運用については別の記事で説明したいと思います。

既に誰も使わないのに残り続けるファイル

1T以上のデータがファイルサーバーに或る場合、実際に業務で使用されているデータはそのうちの10%にも満たないといわれます。
「とりあえず残しておこう」
の繰り返しで増幅したゴミファイルをいかに運用の中で安全に消していくかが大切です。

筆者の会社では、ファイルサーバー上のフォルダの運用によって、毎年100G近くのデータをサーバーから削除しています。(厳密には安価なNASへアーカイブ)

その運用はこちら→「Windowsファイルサーバーの最適な運用ルール

業務に無関係なファイル

社員の個人的な動画ファイルや音楽ファイルが一番対策しにくいです。

会社にとって何の価値も生まないデータなのでいち早く排除したいところですが、システムでは判別が難しいため、飽くまでも社員のモラルにゆだねられるのです。

そこで筆者が行っている対策は以下の2つ

抑止効果を狙ったアナウンス

アナウンス内容は
・定期的にファイルサーバー内の無駄な個人ファイル削除のお願いします。
・現在およそ何パーセントの無駄ファイルを確認しています(あなたの個人的な動画ファイルがあるのは知ってます)
といった感じです。

そして
無駄な個人データがファイルサーバーを占有
→サーバー費用バックアップ費用UP
→会社の利益Down
→あなたの給料もDown
という構図をイメージさせられればOKです。

特定の拡張子のファイルを保存不可能にする

筆者の会社ではWindows Serverの追加機能である、ファイルサーバーリソースマネージャーを使用し、特定の拡張子のファイルを保存できないようにしています。

特定の拡張子を保存不可能にした時の画面ファイルサーバーリソースマネージャーで特定の拡張子(例は.BAK)を保存不可に設定し、BAKファイルを保存しようとした時のエラー画面。

ブロックしている拡張子は「VOB、BAK」の二つだけです。

VOBファイルはDVDをコピー使用としたときにできるファイルで、スキルの無い社員が個人的にデータをコピーするときに残りやすいです。業務上バックアップがとりたいという場合はISO形式で取るようにアナウンスしています。

BAKファイルは各種ソフトでバックグラウンドでバックアップをするときに生成されるファイルで、ソフトによってはかなりの容量になるためブロックしています。

ファイルサーバーの超効率的な運用のまとめ

ファイルサーバーの超効率的運用方法のまとめ図ファイルサーバーの無駄を極限まで排除した超効率的な運用

このページでまとめた運用方法は社内SEの方が実施するものですが、大前提として社内のファイルサーバーの使い方を社員に周知しておく必要があります。

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次は→ ファイルサーバー内の画像一括リサイズ(容量不足対策その1)

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筆者プロフィール
筆者プロフィール
  • 1976年 東京都生まれ
  • 23歳・・・サービス業の会社に勤務したが時間的自由度の低さに納得行かず転職を考える。
  • 25歳・・・「新卒扱いで構いません!」と言ってIT系企業(社員30名)に転職。
    Word、Excelから始め、サーバーやネットワーク機器の構築を学び、3年間SIerとしてお客様への提案やシステム構築を行う。
  • 28歳・・・「3年の経験あり」ということで現在の会社(従業員数900名)に社内SEとして入社
    遅れに遅れていた社内システムを低予算で更新した実績を評価された。