企業へのスマートデバイス導入が進む中、管理のしやすさからiOS搭載機(iPhone、iPad)のみを採用する企業も多いようです。
ここではiOSのみに限定したMDM選びのポイントをご紹介します。
これを見れば無数にあるMDM製品をいちいち比較検討する手間が省けるはずです。
まず最初に「これだけは管理したい!」というポイントを抑えておきましょう。
例えば以下のようなことです。
さて、以下ではMDM自体でできることできないことを見ていきましょう。
さて、上記に挙げたやりたいことのうちiPhone、iPadでできることはiOS側で限定されており、どのMDM製品を使用してもできることは変わりません。
iPhone、iPadにおいては、操作履歴を取得したり特定のアプリを消させないという制御はどのMDMでもできませんが、リモートワイプ、リモートロックやポリシーの配信は、どのMDMでもできてしまいます。
ここまで見ていただければ、iPhone、iPadに関してはMDMで制御できる内容を比較しても意味が無いということがお分かりいただけたと思います。
以上を踏まえて、実際に筆者が導入の際に比較すべきポイントとして挙げた項目は以下の通りです。
上記項目の詳細を説明しておきます。
具体的な例を挙げて説明します。
社内に100台のiPadを配布しました。不正なアプリは極力使用を禁止したいと考えています。一方で絶対に削除してはいけないアプリもしっかりインストールされているかどうかを確認したい。
そんな時、iPad100台分のアプリケーションとそのインストール数の一覧が確認したいと思いませんか?もしくは禁止したいアプリケーションを予め登録しておいて、インストールしている端末があったら管理者に警告メールを送るという仕組みが欲しいですよね。(前述の通り、iPhone、iPadでは特定のアプリケーションを禁止するようなことはできません。)
この一覧の表示、警告の通知ができるできないというのがMDMの差となってきます。
具体的な製品を挙げるとMOTEXの「LanScope An」は、100台分のiPhone、iPadのアプリとそのインストール数の一覧を画面に表示&CSV出力可能ですが、アイキューブドシステムの「CLOMO MDM」では端末ごとにしかインストールアプリの表示ができず、どうしても一覧にしたいという場合はCSV出力したデータを加工してあげる必要があるんです。
MDMはまだ歴史の浅いシステムです。それだけに多数の製品がリリースされ、本物で無いものが淘汰されずに現在も存在しつづけています。
その中から今後も継続して使用していけるもの、もしくは今後、新たなデバイスが登場しても素早く対応できるMDMを選んで行かなければなりません。
筆者が検証を行ったMDM製品のうち某A社は、使用方法が分からずにサポートに問い合わせたところ、カタコトの日本語をしゃべる中国人らしき人にそっけない対応をされました。企業によってはこうした業務をアウトソースしているケースも多いのでしょうが、ユーザーとしては不安になりますよね。購入前の問い合わせくらいは丁寧な日本人スタッフに対応してもらいたいものです。
サポートの充実度は製品公式サイトの中のアップデート情報などを見ると分かります。iOSの新バージョンがリリースされてからどの程度の時間で新バージョン対応が完了しているのか、また、こまめな不具合修正がされているかなどをチェックしましょう。
過去30日間稼働した様子が無い端末があった場合、故障しているのか、ただ使っていないのか、もしくは紛失してしまっているという可能性を考えなければいけません。パソコンのように社内LANに頻繁に接続されていない端末なので、稼働チェックはパソコン以上に入念に行う必要があります。
さて、この稼働確認はどのように行っているのでしょうか?多くのMDMは二つの方法で確認を取ります。
まず、1の方法ですら稼働確認が取れないMDMはやめておいたほうがいいです。そしてポイントとなるのは2の「一定間隔」ってどれくらい?ってことです。端末の充電が無くなるまでの時間(24時間くらい?)以内であって欲しいところです。
何のためにiPhoneやiPadを集中管理したいのか?と考えれば、効果測定とかリース情報管理ももちろんありますが「IT機器の紛失による情報漏えいが怖いから」が大きな理由になりますよね。
そうなると結局管理したいことは、iPhone、iPadだろうが、パソコンだろうが一緒です。だったら同じ管理ツールで全てを管理できたら良いと思いませんか?
筆者が調査したところ、統合管理性という面では
・クオリティソフト株式会社の「ISM CloudOne Ver.4.0i」
・エムオーテックス株式会社の「LanScope An」
・株式会社インターコムの「VECTANT SDM」
など、元々IT資産管理ツールを提供していた会社の製品がずば抜けて優れています。
MDMの価格はどのメーカーも1端末当たり月額300円前後です。しかし比較の際には機能も合わせてよく見てください。中にはiOSのJailBreak(脱獄)によるポリシー違反検知はオプション料金とか、GPSによる位置情報追跡はオプションなんてこともあります。
ほとんどのMDMがクラウドサービスで提供されているので、1端末あたりの月額制でわかり易いのですが、初期費用のかかり方には注意が必要です。
以下は代表的な二つの例です。
この違いが数年間のランニングコストに大きな違いを生むことが以下の比較表から分かります。
LanScope An エムオーテックス |
CLOMO MDM アイキューブドシステムズ |
|
---|---|---|
契約ごとの初期費用 | \0 | \20,000 |
端末ごとの初期費用 | \6,800 | \0 |
ライセンス月額 | \100 | \300 |
1年間のトータルコスト | \800,000 | \380,000 |
5年間のトータルコスト | \1,280,000 | \1,820,000 |
また、1ライセンスの考え方の違いにも注意してください。
通常の考え方だと、トータルの使用数分だけライセンスがあればOKと思いがちですが、中には端末(固体)にライセンスがヒモづくタイプがあります。
例えば、ライセンス登録していたiPhoneが故障により交換になった場合、その月のうちに代替機、もしくは交換機を登録する場合は、2本分のライセンスが必要になってしまうのです。
MDMはまだ登場したばかりのツールなので、導入実績やシェアの数字ばかりを当てにするのは危険です。
今はまだ実績を伸ばしていない製品であっても、長くIT資産管理の開発に従事してきた企業の製品に注目しておくことをオススメします。
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