社内SEとして会社のメール環境を考えるときに、「Webメール」を使うのか、それともWindows LiveメールやMicrosoftOutlook、Thunderbirdなどの「メールソフト」を使用させるのかで迷っている方も多いのではないでしょうか?
ここでは、それぞれのメリットデメリットと運用の問題や改善のコツについてまとめておきます。
結論から言うと、基本はメールソフトを使用し、いざというときにPCが無い外出先からWebメールを使うという形の併用運用がベストです。
最大の理由は
結局ほとんどの社員は自分のPCでメールチェックできればOK
だからです。
「クラウドでどこからでもアクセスできるよー」
「べんりー」
「マルチデバイスだからiPhone、iPadからも見られるよー」
「すごーい」
って言ってもその恩恵を受けるのはあちこち飛び回り、それなりにITスキルのある営業マンくらいです。
そんな人達は、社内SEが手を差し伸べなくても、自分で勝手にiPhoneで会社メールの受信設定をしたり、Gmailを使ったりしてしまうでしょう。
社内SEが意識すべきはその他大勢のスキルの無い人たちなのです。
以下ではそれぞれの特徴を踏まえながら、こんな結論に至ったさまざまな理由と運用上の注意点を説明します。
まずはそれぞれの基本的な特徴の比較です。
Webメール | メールソフト(POP) | |
---|---|---|
容量 | 制限あり(1G程度) | PCのハードディスクが許す限り |
アクセス | どこからでも使用可能 | 設定されたPCからのみ使用 |
操作性 | いまいち分かりにくい | ドラッグ&ドロップも使えて快適 |
オフライン | インターネットが無ければ使えない | オフラインでもメール作成や 過去のメールの参照ができる |
メールソフトの最大のメリットはその容量です。 HDDの容量が許す限り貯めておけるので、業務で急きょ必要になった数年前のメールも全文検索で瞬時に探し出すことができます。
これが容量制限の厳しいWebメールになると、容量を使い切らないように、いらない(と思われる)メールを細目に削除しなければなりません。しかし、数年後に見たくなるメールを確実に残しておけるかどうかは微妙なところですよね。
一方、Webメール最大のメリットはマルチデバイスでどこからでも使えるということです。しかし、このメリットを享受する社員がどれほどいるでしょうか?それは皆さんの会社の社員がどの程度ITスキルを持っているか次第だと思います。
ここまで、メールソフト押しで話を進めてきましたが、Gmailを採用する場合は上述している結論の例外として考えなければなりません。
現在、主要ベンダーがリリースしているグループウェアを見る限り概ねwebメールの容量は1G程度。それに対してGoogle AppsのGmailは25Gと超大容量です。
Gmailの操作性と拡張性は素晴らしいですし、何より検索機能が最強です。みなさんの会社でGmailを採用できるのであれば、Webメール1本という運用も大いにアリです。
ただし、Webメールを使う以上、社員全員の載ったアドレス帳が最新状態になっていることが求められます。
Google Apps自体にはその機能は無いので、オプションで追加する必要があります。(オプションつけてもちょっと使いにくいです)
詳しくは→「このデメリットが無ければGoogleAppsが最高のグループウェアだった」
社員に対し、メールソフトを使わせる場合は下記の点に注意しましょう。
メールの受信方式としてはPOPによるダウンロードを必須としましょう。IMAP方式にされると、メールサーバーの容量を食い尽くされる危険性があります。
大容量のメールサーバーを持っているとは言っても、社員数が多くなればなるほど容量もシビアになり、バックアップも困難な状態になっていきます。
会社のメールサーバーはあくまでもメールを転送するためのサーバーとして使用し、データを蓄える場所では無いという位置づけにしておくべきです。
メールデータはユーザー個人が責任をもって管理してもらうのがイチバンです。
POPの設定をしていても、メールサーバーから削除しない設定になっていたら意味がありません。
Windows Liveメールでなら「メールを受信してから7日後に消す」設定にしておけば問題ありません。
社員から問い合わせを受けた際に
「メールの署名の編集ってどうやるんだっけ?」
と聞かれても使っているソフトが何か分からなければ教えられない上に、そのソフトが自分のPCに入っていなかったらさらに手間と時間がかかってしまいます。
また、メールソフトによって文字コードの自動判別方法が異なるせいなのか、異なるメールソフトでやり取りしているうちに文字化けしてしまうケースをよく見かけます。
トラブル対応が複雑化しないように、せめて会社の推奨ソフトは1本に絞っておくことを強くオススメします。
参考:「社員のメールソフトは「Windows Liveメール」?「Thunderbird」?」
メールソフトを使用しているとPCにメールデータを保存しておくので、PCの入替えの際にはメールデータの移行をしてあげなければいけません。
デスクトップやマイドキュメントの中のデータなら比較的簡単なのでユーザーでもできますが、メールデータとなるとユーザーにとって少し敷居が高くなるものです。
メールソフトの選定の際には、データ移行の手順がユーザー側で簡単にできるものかどうかも考慮しておきましょう。
ちなみにWindows LiveメールはWindows標準のデータ転送ツールを使用すると、マイドキュメントやその他各種設定と共に全て一括で移行が可能です。
(この点はWebメールなら移行がいらないので、管理者側としては大きなメリットを感じます)
社内SEである以上、会社の業務において一番メリットのあるメール環境を整えなければなりません。
クラウドやマルチデバイス対応が正義という風潮を強く感じますが、ほとんどの会社においてそれを必要とするのは、まだまだごく限られたゾーンの人たちだけです。
今まで通り、過去の大量のメールを検索できたり、ドラッグアンドドロップでストレスなくファイル添付できることが、大半の社員にとって大きなメリットを生んでいるのだという部分を見落とさないように気を付けましょう。
次は→ Windows Live メールのアドレス帳をカテゴリーごと移行
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